人さまに認められたいという欲求は、承認欲求と呼ばれます。ラフな承認欲求、つまり、自分の都合のよい部分を認めてもらいたいという欲求をかなえることは、それほど難しことではありません。承認する相手を選ばない上に、その部分をアピールすることで、反応を見ることができるからです。
ところが、都合のよい自分を認めてもらいたいと願うとき、都合のよくない部分を隠していることに気づく人がいます。それがストレスになります。そのストレスの解消は、承認欲求そのものをやめるか、隠そうと試みた不都合な部分を含むありのままの自分を認めてもらうことです。
承認欲求は、自己実現の過程で現れます。自己実現指向は、その人の生まれ持っての癖です。ですから、成長の欲求が承認欲求を導いたとも言えます。承認欲求は、成長とともに解消します。意図的にやめることは困難です。
成長を試みつづける源は、上位承認、つまり、他人よりも優位であろうする承認欲求です。成長のプロセスで、下位承認が首をもたげます。責任を負いたくない、保護されたいと思うのです。上位承認を表面に出す限り、下位承認は表面化できないのです。前者は、相手をあまり選ぶ必要はありませんが、後者は、相手が限られるのです。
上位承認が成就するほどに、下位承認が明瞭になり、また表面化できないためにストレスになるのです。そのストレスが、自己実現を阻むのです。