家族や心なごませる友達と食事をする喜びや満足は、日常の何にも代え難い時間かもしれません。ところが一方で、新聞を読みながら、テレビを見ながら、仕事の書類を見ながら、書籍を読みながら、音楽を聴きながら、あるいはパソコンやスマートホンをさわりながら、食事をする人も多いことでしょう。食事中に「ながら」ができる人は、そばに家族や友人がいないか、いても関係を絶っている状態にあります。
その時間を使って豊かな人生へ方向づけることができます。じつに簡単です。食事に専念することです。そうした「ながら」を全部、止めて、30分間、あるいは15分間でも良いでしょう。食事に専念してみましょう。食事の後にコーヒーを飲む習慣のある人ならば、食事と一緒に用意するか、喫茶店などならば、食事を注文したときに、コーヒーも注文しておくのです。
他にすることがないのですから、ゆっくり食事を楽しんでもかまいません。食事を素早く済ませる人ならば、5分で食事を終えてしまうかもしれません。それもかまいません。コーヒーを飲んだり、カップを撫でたりするのです。30分間、あるいは15分間、そこでじっとしているのです。あまりきょろきょろしないほうがよいでしょう。仕事机で食事をしている人は、ついパソコンを操作しようとするかもしれません。じっと堪(こら)えてください。ふっとマウスに手がいっても、クリックしなければ、セーフです。
余計なことをしないことが、どれほど豊かなことかと実感することでしょう。余計なことをしないことが、あなたに豊かさをもたらす理由に気づかれたでしょうか。「ながら」でしていたことに、自分が依存していたのです。そこで自分を見失ってしまっていたのです。そこから自分を取り戻したのです。ですから、自分の心に豊かさを感じることができるようになったのです。
豊かさを実感すれば、それが一日の他の時間も自分に豊かさをもたらすように誘導しはじめます。一人で食事をする機会がある方ならば、お試しあれ。