2013年05月03日

たいそうな方々は、人生の、あるいは歴史の重大な場面でも、優雅に受け答えをなさいます

昨年(2012年)のNHK大河ドラマ、松山ケンイチさん主演の『平清盛』が放映されました。

白河上皇(伊東四朗)が、平忠盛(中井喜一)に下した子供が清盛(松山ケンイチ)です。清盛は、平氏の血を継いでいないのです。現在、そのことは史実だと認められます。

忠盛が養子を決めた場面は、『平家物語』では次のように記されています。

白河院の愛妾が、妊娠しているとときに忠盛に下しました。そして「生まれた子が女の子なら自分の子にするが、男の子なら忠盛の子として武士にせよ」と言われました。彼女は男の子を産みました。忠盛はそのことを白河院に伝える機会がありませんでした。

白河院が熊野詣に行くことになり、道中で休息を取りました。忠盛は藪に入り、山芋のツルに生えるムカゴをたくさん採って袖に入れて戻り、

「いもが子ははふほどにこそなりにけれ(山芋の子がツルに這うほどになりました)」

と上の句を詠みました。それを白河院は聞いて、

「ただもりとりてやしなひにせよ(たくさん盛り取って食料にせよ)」

と下の句を続けました。そこで忠盛は、その子を自分の子としたのです。

つまり、忠盛は
「いもが子」は、「妹が子」、つまり「彼女の子供」は、
「はふほどにこそなりにけれ」、つまり「這い這いをするほど大きくなりました」と報告したところ、

「ただもりとりて」、つまり「忠盛が引き取って」、「やしなひにせよ」、つまり「養子にせよ」と白河院が言ったのです。

たいそうな方々は、人生の、あるいは歴史の重大な場面でも、優雅に受け答えをなさいます。
posted by ほうとく at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ・恋愛と結婚 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする