2025年11月27日

悩みが照らす道──十代に育まれた思索の原点

悩ましいことがあるのが人生かもしれない。
けれど、その解決には他人の答えではなく、結局は自分の内側に分け入り、思索する時間が不可欠ではないか──そんなふうに私は考えている。目の前の問題を、より上位の視点に置き直し、抽象度を上げ、必要であれば形而上学的な俎上にまで載せてみる。そうした思考の習慣は、振り返れば、若い頃に自然と身についたものだった。

十代半ばの私は、興味の向くままにあらゆる分野へ首を突っ込み、考え、試し、そしてまた疑問に戻ってくる日々を送っていた。
形而上学という言葉も、父から聞いていたおかげで幼い頃から馴染みがあった。西洋哲学だけでなく、ウパニシャッドなどインド哲学の話、さらには志那学にいたるまで、父との会話は世界を縦横に渡る航海のようでもあった。

目の前の理不尽に向き合うとき、私はいつの間にか「どうして? それは、どうして?」と自分に問い続ける癖を持つようになっていた。その思考法は、必然的に形而上的な方向へ導かれる。問い続けるほどに自分が見えてきて、すると不思議なことに、見えていなかった問題がまた増える。
そうした迷いの中で、私が心を寄せたのが**ダンテの『神曲』**だった。

寿岳文章訳の『神曲』を、私は学内の図書館で何度も手に取り、休み時間のたびに読み進めた。理解できない箇所が多く、冒頭の地獄篇は陰鬱ですらある。それでも、なぜか読み続けずにはいられなかった。長大な物語は地獄篇から始まり、煉獄篇、そして天国篇へと向かう。
当時出版されたばかりの寿岳文章訳。その響きは、十四世紀から届く声を、現代に新しく息づかせるものだった。

後になって、『神曲』がどれほど多くの芸術家に影響を与えてきたのかを知った。ミケランジェロ、ロダン、ダリ、チャイコフスキー、リスト、プッチーニ、ゲーテ、漱石、大江健三郎、中原中也、宮崎駿、永井豪……。
それらの名を眺めると、彼らもまた、自身の内側の迷宮を歩くために、この書をひもといたのだろうと思う。

十代半ばは、私にとって“哲学書の乱読時代”でもあった。
その中で『神曲』だけは、まるで帰る場所のように繰り返しページを開いた。
そしてもう一つ特筆すべきは、人生でその時期に限って、私は熱心にポップスを聴いていたことだ。しかも当時の私が好んだのは、イタリアやフランスのポップスばかり。いま思えば、『神曲』と地続きの世界観を持つ文化に、無意識のうちに惹かれていたのかもしれないし、精神世界の重さとバランスを取るためだったのかもしれない。

悩みは尽きない。
しかし、悩みを抱いたその瞬間こそ、私たちは自分の世界を抽象度の高い次元へ押し広げるチャンスを与えられている。若い日々に培った思索の習慣は、いまもなお、私の支えとなっている。
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2025年05月02日

美術館・博物館で「細部に宿る美」を見る道具――単眼鏡のすすめ

美術館や博物館に出かけるとき、持っていくのが「単眼鏡」です。
一見、登山や観劇に使うもののように思われがちですが、美術鑑賞にも力を発揮してくれる頼もしい道具なのです。

単眼鏡で作品の細部を覗き込んでから、もう一度肉眼で見ると、不思議とその作品がよく見えるようになります。筆遣い、色の重なり、素材の質感――すべてがぐっと身近に感じられるようになるのです。

たとえばガラスケース越しの工芸品や装飾品でも、ピントを合わせれば、間近で手に取って見ているような鑑賞体験ができます。

私が長年愛用しているのは、倍率が6倍で、ピントリングを直接スライドしてピントを合わせるタイプです。


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視野の広さや軽さを優先するなら、4倍程度のモデルもおすすめです。倍率より「明るさ」や「手ブレの少なさ」で選ぶと使いやすいと思います。

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単眼鏡で、美の細部に目を凝らしてみませんか?

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2024年10月22日

1980年代も豊かな時代だったのかもしれない

若いころ、と言えるほどに自分がそれなりの年齢になっているのだと気づく。半世紀か、せいぜい四半世紀の昔のこと、秋から冬にかけて、コンサートやダンスパーティーによく足を運んだ。

20代のころ、毎年、秋から冬にかけて、何十回もクラシックのコンサートに行った。年末には、ヘンデルのメサイアかベートーベンの第9を聴きに行くものだと思っていた。中学生のころ、第9や彼のピアノソナタをレコードで聴いていた。冬にガスストーブのそばで、朝から晩までずっと繰り返し繰り返し聴いていた。それでも、飽きずに大人になって年末にはそれなのだ。さかのぼって、小学生だったころのほうがいろいろなクラシック音楽を聴いていた。

30代のころ、タキシードにオペラパンプスを履いてパーティーに行き、また、そこで出会った方とワルツやフォックスロットなどを踊り、あるいは脇で話しをしたりしていた。

その頃であっても、そうした楽しい時間は、日常そのものではなかったのかもしれない。それでも、そうした場に出向くことも多かった。今もどこかにそうしたきらめきのある世界があることだろう。

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https://youtu.be/IOK8Jb76ibc?si=s6eSrK-co52l8SmJ

Dmitri Shostakovich - The Second Waltz
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2023年12月05日

北野天満宮楼門の随身

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楼門は、本殿の正面にあるのが普通ですが、その正面には、地主社(じぬししゃ)があります。その脇に現在の本殿、北野天満宮があります。

楼門にいらっしゃるのが随身。彼らは、平安時代以後に貴人の外出の際、朝廷の命令で護衛として従った者です。随身は弓矢を持ち、太刀を帯びていました。

北野天満宮楼門には額「文道大祖 風月本主(ぶんどうのたいそ ふうげつのほんしゅ)」が掛けられています。「学問・文学の祖、漢詩・和歌に長じた人」という意味です。

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2023年11月29日

「大きなったなあ」と子どもが北野天満宮の牛さんに言っていました

七五三のようです。京都の北野天満宮では、いつものことなのでしょうけれど、たくさんの人がいました。パリッとした男の子が境内の牛の石像に寄って行きました。その男の子は、牛の石像を見上げながら「大きなったなあ」と言っていました。その子は、何を知っているのだろうか、と気になってしまいます。

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