2011年05月02日

「ウイルス」の翻訳「病毒」は、巧みな意訳です

ウイルス(virus) は、生物ではありません。そう学校で習いました。しかし生物学で扱うのです。しかも実際増殖するのです。生物の単位は、細胞です。しかしウイルスは、タンパク質の殻と内部の核酸しかないのです。つまり遺伝子と呼びならわされる暗号を他の生物の細胞で発現させ、自己を複製させるものなのです。

ウイルスは、ラテン語のvirus(ウィールス)に由来しています。「毒液」または「粘液」を意味しています。古代ギリシアのヒポクラテスは、私たちの見知っている(肉眼どころか、光学顕微鏡を使っても見えないのですが)ウイルスを知っていたはずではないのですが、生物というのではなく、「病気を引き起こす毒」と理解しています。

近世以降、病気になったとき、憑き物がついたというのではなく、細菌のせいだと理解します。細菌のように増殖しながら、じつは生物に属する細菌ではないウイルスを、ヒポクラテスも病気の元だと理解することは、実に巧みだと私は思います。

日本細菌学会によって「病毒」と訳されました。現在でも中国語では、「病毒」と呼ばれているようです。日本ウイルス学会が「ウイルス」、日本医学会がドイツ語発音の「ビールス」、また英語発音の「バイラス」といろいろの呼び方があります。

いくつもの呼び名があることで、斎藤緑雨の川柳「ギョエテとは俺のことかとゲーテ言い」を思い出してしまいました。
posted by ほうとく at 17:13| Comment(0) | TrackBack(0) | ・健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック