かつて母と能を観に行ったりしていました。一人で、あるいは知り合いの方と能を観に行く機会もありました。劇場での舞台もあれば、神様に奉納するための薪能だったりもしました。
能は能面をつけて、演じます。その中に般若(はんにゃ)があります。嫉妬する女の怨霊で、うらみや怒りと悲しみを現しています。面の上下で表情が違うので、その傾きで、見る者の感じ方が変わるのです。
般若は、怒っています。その理由は「何で分かってくれないの、だから悲しい」ということで怒っています。嫉妬を通じて怒りを募らせるものです。
「どうして私のことを分かってくれないの」「だから悲しい」「それで怒っているのよ」
わたしたちは、自分を理解してもらえないことに、とても悲しい思いをします。わたしたちが怒っているのは、理解してもらえない悲しみがあるからです。
「般若」は、梵語のPannaに語源をもちます。それは「最高の智慧」という意味です。般若は、改心します。「最高の智慧」をそのとき駆使して、悟ることを示唆しているのかもしれません。
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